「AIはどうやって学習しているの?」
生成AIが身近になった今、この疑問を持つ人は多いはずだ。
「大量のデータを覚えているだけ」という説明を聞くこともあるが、それだけではAIの学習の本質は見えてこない。
実際にはAIは、データの中から規則性を見つけ出し、その規則性を使って未知の問題を予測できるようになる。そして近年では、一つの学習方法だけではなく、複数の学習方法を組み合わせることで、より賢いAIが作られるようになってきた。
今回は、AIはどのように学び、なぜ複数の学習方法を組み合わせるようになったのかを解説していく。
AIの学習の仕組みとは?
AIの学習とは、一言でいえば、
「大量のデータから規則性を見つけ、新しいデータに対して予測できるようになること」
である。
例えば犬と猫を見分けるAIを考えてみよう。
AIは何百万枚もの画像を見ながら、
- 耳の形
- 目の位置
- 毛並み
- 顔全体の特徴
などを少しずつ数値として学習していく。
最初は間違いだらけでも、予測と正解のズレ(誤差)を何度も修正することで、初めて見る画像でも犬か猫かを判断できるようになる。
つまりAIは画像そのものを暗記しているのではなく、「犬らしさ」「猫らしさ」という特徴を数値として表現できるようになっている。
AIの代表的な3つの学習方法
AIの学習には、大きく分けて3つの代表的な方法がある。
教師あり学習
正解付きのデータを使って学習する方法だ。
例えば、
- この画像は犬
- この画像は猫
というように、問題と正解をセットで与えることで、AIは正しい判断を学んでいく。
画像認識や医療診断、迷惑メール判定など、多くの実用的なAIで利用されている。
教師なし学習
こちらは正解を与えない。
AI自身が、
- 似たデータをまとめる
- 共通する特徴を見つける
ことで、データの構造を理解していく。
ECサイトの商品推薦や顧客分析などで活用されている。
強化学習
試行錯誤を繰り返しながら学ぶ方法である。
例えばロボットなら、
- 転んだ
- 歩けた
- 速く歩けた
という結果だけが与えられる。
AIは報酬を最大化するように行動を改善し続け、最適な動きを身につけていく。
ゲームAIやロボット制御、自動運転などで重要な学習方法となっている。
なぜ学習方法が何種類もあるのか?
理由はとてもシンプルだ。
現実世界では、いつも「正解」が用意されているわけではないからである。
例えば学校のテストなら正解がある。
しかし、
- SNSの投稿
- 人間同士の会話
- ロボットが歩く方法
には、あらかじめ用意された正解が存在しないことも多い。
そのため、
- 正解があるなら教師あり学習
- 正解がないなら教師なし学習
- 行動しながら覚えるなら強化学習
というように、状況によって学習方法を使い分ける必要がある。
つまり学習方法の違いは、「AIの種類」ではなく、「利用できる情報の違い」なのである。
なぜ最近は複数の学習方法を組み合わせるのか?
近年のAI研究では、一つの学習方法だけでは限界があることが分かってきた。
例えば教師あり学習だけでは、大量の正解付きデータが必要になる。しかし現実には、そのようなデータを用意するには多大なコストがかかる。
一方、教師なし学習だけでは世界の知識は身につくが、「人間にとって望ましい振る舞い」までは学べない。
強化学習だけでは、ゼロから試行錯誤するため膨大な時間が必要になる。
それぞれに長所と短所があるため、現在では組み合わせることが主流になっている。
ChatGPTも複数の学習方法を組み合わせている
ChatGPTのような生成AIも、一つの学習方法だけで作られているわけではない。
まず大量の文章を読み込み、言葉や知識、文章の流れを学ぶ。
その後、人間が「こちらの回答の方が良い」と評価したデータを利用して、より自然で分かりやすい応答へ調整する。
さらに、人間からの評価をもとに改善を重ねることで、安全性や使いやすさも向上させている。
つまり現在の生成AIは、
- 世界について学ぶ
- 人間から教わる
- 評価を受けながら改善する
という複数の学習を段階的に組み合わせることで、高い性能を実現している。
AIの学習は人間の学習に近づいている
人間も、
- 本を読む
- 学校で教わる
- 実際に経験する
という複数の方法を組み合わせて成長している。
AIも同じように、一つの学習方法だけではなく、多様な学び方を統合する方向へ進化している。
今後はテキストだけではなく、
- 動画
- 音声
- ロボットによる実体験
- シミュレーション
なども組み合わせながら学ぶAIが増えていくだろう。
つまり、AIの進化とは新しい学習方法を一つ発明することではない。さまざまな学習方法を組み合わせ、現実世界をより多面的に理解できるようにしていくことこそが、これからのAIの発展を支える大きな方向性なのである。
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