Web3という言葉を聞くと、暗号資産やNFTを思い浮かべる人も多いだろう。
しかしWeb3の本質は投資や投機ではない。
それは、インターネットの進化の延長線上で生まれた、「価値や所有権をネット上で扱うための仕組み」である。
Web3を理解するためには、まずインターネットがどのように進化してきたのかを振り返る必要がある。
Web1 ― 情報を読む時代
インターネットが普及し始めた頃のWebは、主に情報を閲覧するためのものだった。
企業や個人がホームページを公開し、利用者はそれを読む。
情報の発信者と受信者が明確に分かれていた。
この時代の最大の成果は、情報を世界中に届けられるようになったことである。
しかし利用者は受け身であり、インターネット上で価値を生み出す主体ではなかった。
Web2 ― 参加する時代
その後登場したのがSNSや動画共有サービスである。
利用者自身が投稿し、発信し、コミュニティを形成するようになった。
情報の発信者と受信者の境界が曖昧になり、インターネットは人と人をつなぐ巨大なプラットフォームへと進化した。
しかしここで新たな問題が生まれる。
投稿やデータを生み出しているのは利用者であるにもかかわらず、その管理権限はプラットフォーム企業が持っている。
アカウント、投稿データ、フォロワーなどは、自分のもののようでいて完全には所有していない。
利便性と引き換えに、データや権限が中央に集中する構造が生まれたのである。
Web3 ― 価値を扱う時代
Web3は、この課題に対する一つの解決策として登場した。
情報だけでなく、
- お金
- 権利
- 契約
- 所有権
そのものをインターネット上で扱えるようにしようという考え方である。
言い換えれば、
Web1が「情報の共有」、
Web2が「人のつながり」なら、
Web3は「価値の共有」である。
しかし価値を扱うためには、従来のインターネットには存在しなかった仕組みが必要になる。
問題① 誰が正しい記録を管理するのか
お金や所有権を扱う場合、
「誰が本当の持ち主なのか」
を証明しなければならない。
従来は銀行や企業が中央管理者としてその役割を担っていた。
しかしWeb3では特定の管理者に依存しないことを目指す。
そこで必要になるのがブロックチェーンである。
ブロックチェーンは取引履歴を分散管理することで、
「誰が何を持っているか」
を共有し、改ざんを困難にする。
問題② どうやって信頼を作るのか
中央管理者がいない場合、
誰の記録を正しいと認めるのかという問題が発生する。
これを解決するのがコンセンサスアルゴリズムである。
参加者全体で取引の正当性を確認し、共通のルールに従って合意を形成する。
これによって特定の管理者がいなくてもシステムが成立する。
問題③ 契約を誰が実行するのか
現実社会では契約の履行に人間や組織が関与する。
しかしインターネット上で自動的に契約を実行したい場合はどうだろうか。
そのために登場したのがスマートコントラクトである。
あらかじめ定めた条件を満たした際に、プログラムが自動的に契約を実行する。
これによって仲介者を減らし、取引を効率化できる。
問題④ 所有権をどう表現するのか
現実世界には、
- お金
- 会員権
- 株式
- 不動産権利
など様々な価値が存在する。
これらをデジタル空間で扱うために利用されるのがトークンである。
トークンは価値や権利を表現するための仕組みであり、Web3経済圏の基礎となる。
問題⑤ 決済をどう行うのか
価値交換には決済手段が必要である。
しかし価格変動の大きい暗号資産は日常的な決済には向かない。
そこで登場したのがステーブルコインである。
法定通貨と連動することで価格変動を抑え、インターネット上で安定した価値交換を可能にする。
問題⑥ 大量のデータをどこに保存するのか
ブロックチェーンは信頼性には優れているが、大量の画像や動画を保存するには適していない。
そこで利用されるのが分散型ストレージである。
データ保存を分散化しながら、単一の管理者に依存しない仕組みを構築する。
Web3はインターネットの次の機能になれるのか
Web3は単なる新しいサービスではない。
情報を扱うためにWeb1が生まれ、
人と人をつなぐためにWeb2が生まれたように、
価値や所有権を扱うための仕組みとして登場したのがWeb3である。
もちろん課題も多い。
使いやすさ、規制、スケーラビリティ、安全性など解決すべき問題は少なくない。
それでもWeb3が注目され続けるのは、
「デジタル世界で価値や信頼をどのように扱うべきか」
という根本的な問いに挑戦しているからだ。
Web3とは、インターネットを情報ネットワークから価値ネットワークへ進化させようとする試みなのである。
